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ツシマ沖の海戦(その百二十二)The Battle of Tsushima
2006-11-01 Wed 14:41
その日も波が荒く、秋山らにとって敵旗艦の甲板によじ登るのは容易な作業ではなかった。
その上、ニコライ一世は舷側の斜角が急な軍艦であるため、雉の低い甲板に立って見上げる山本大尉には、まるで聳え立つ大要塞の壁を仰ぎ見る思いがした。
そのとき、上からするすると一本の索梯が下りてきた。
「お先に」と声を出し、先ず山本が足を掛けた。
甲板に這い上がると、そこには口々にわめきながら走り回る多数の兵員の姿があった。
それが山本の眼には、「容易ならぬ不穏な形勢」と、映じた。
しかし、現実には彼等はパニックに我を忘れた暴徒の群れではなかった。
上甲板に横たえられた戦死者のための水葬の準備に忙しく立ち回っている士官や水兵たちの一団であった。
秋山は、臆することもなくつかつかと死体の側に近付くと、おもむろに跪いて黙祷した。
その動作には、敵味方を越えた死者への哀悼という真摯さが満ち溢れていた。
山本もそれに倣った。
日本の士官たちの思わぬ振舞いをじっと眺めていたロシアの兵員たちの瞳には、やがて素直な感謝の念が宿り始めたように見えた。
甲板にまで秋山たちを出迎えたのは参謀長クロツス中佐であった。
中佐の案内で秋山らは司令官室に通された。
艦内は喧騒を極めていた。
司令官室の前の通路を走る大勢の足音や叫び声がした。
乗員が信号書や機密書類を海中に投棄する作業に追われていたのだ。
秋山らはソファに腰を下ろして、それらの騒音に黙って耳を傾けていた。
やがて、ネボガトフ少将がドアを開けて姿を見せた。
日本の軍使たちは立ち上がり、少将に敬礼した。
ネボガトフ少将は自分の身体を叩いて、「こんな服装で申し訳ありません」と、フランス語で挨拶し手を伸ばした。
確かに少将の白い制服は、煤と埃とに塗れて、薄汚れて見えた。
テーブルを挟んでクロツス中佐とネボガトフ少将が秋山らと向かい合った。
先ず、秋山が口を開き、降伏を受け入れる旨を告げた。
それは英語であったため、ネボガトフ少将には理解ができなかった。
そこで、山本がフランス語で通訳を開始することにした。
「東郷提督は、惨烈なる海戦が終了したことを貴官と共に慶び、貴官らの名誉の降伏を受諾するために小官を派遣したのである」
よって、降伏条件の協定のため、貴官の三笠への来艦を求める。
ネボガトフ少将は酷く疲れている様子であったが、笑顔で応えた。
「前日来の海戦は常に我が方に利がありませんでした。もはや、この艦隊も戦闘能力はありません。全て貴軍の命令に従うことにします」
「ただ」と、少将は言葉を継いだ。
「この命令を各艦に伝達しなければなりません。そのために若干の時間を頂きたい」
秋山の了承を得たネボガトフ少将とその参謀は、部屋を出で行ったが、再び姿を現わしたときは、既に三十分が過ぎていた。
ネボガトフ少将は更に時間の猶予を求めた。
理由は戦死者の水葬に立ち会うためと、三笠に赴くために礼服に着替えるためである。
秋山は了承した。
しかし、少将は直ちに席を立たず、秋山にしきりに味方の諸艦の運命を尋ね始めた。
秋山はそれに対して知る限りの事実を連ねた。
「それでは味方は全滅」少将の眉が曇った。

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